自閉症の診断を受けたいと思ったら

自閉症の診断は医師によって行われます。
医療機関での診断は、子供の場合専門外来のある小児科、脳神経小児科、児童精神科などで行われます。

18歳以上の場合は、心療内科および精神科での診断が一般的です。
しかし、自閉症を診療できる専門の医療機関は未だ少ないのが現状です。

自閉症が疑われる場合には、いきなり診療を受けるのではなく、各地域の発達障害者支援センターに相談をした上で専門の医療機関を紹介してもらう方法をおすすめします。
ここには担当者との相性も大きく関わってくるので、見極めた上で納得のいく医療機関を選びましょう。

医療機関では、診断基準に基づくテスト、生育歴の聞き取り、ライフスタイルや困難に関する質疑応答など、問診の上総合的に診断が下されます。

自閉症の種類と分類

医療機関および行政や司法の場で使われる疾病分類のマニュアルには、『DSM-5』と『ICD-10』があります。
これらの改訂によって、自閉症は診断時期によって、広汎性発達障もしくは自閉症スペクトラム障害などと呼び名が変わります。
ここでは、自閉症の診断名の変化と分類をまとめます。

ICD-10の分類における自閉症

世界保健機関(WHO)の『ICD-10』の分類では、自閉症は広汎性発達障害に含まれます。
広汎性発達障害のうち、IQ70以上の知能指数が高い高機能自閉症の場合、「アスペルガー症候群」に分類されます。
反対にIQ70以と知能指数が低い自閉症の場合は「カナー症候群」に分類されます。

DSM-5の分類における自閉症

2013年に出版されたアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)では、それまで診断基準であったアメリカ精神医学会の『DSM-Ⅳ-TR』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第4版 テキスト改訂版)の中の広汎性発達障害の分類に変更点が見られました。

広汎性発達障害のサブカテゴリーであった自閉症やアスペルガー症候群が廃止され、レット障害を除くすべての障害名が自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(Autistic Spectrum Disorder、略称ASD)に含まれるようになったのが変更点です。

これらは本質的に同じ障害単位であると考えられ、症状の強さによっていくつかの診断名に分類されます。
「spectrum=連続体」と呼ばれるのはこのためです。

このことから、2013年以前に自閉症やアスペルガー症候群と分類された症状は、現在「自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害」という診断名に分類されるようになりました。

ただ、『DSM-5』が未だ浸透していない場合もあるため、『ICD-10』の診断基準を用いる医師がいたり、すでに自閉症の診断名を受けている人も少なくありません。
また、発達障害者支援法での障害名が「自閉症」であるため、この障害名を使い続けている人も増加傾向にあります。