広汎性発達障害(PDD)とは

広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders:略称PDD)は発達障害のグループで、コミュニケーションと社会性に障害があり、限定的・反復的および情動的な行動があることを特徴として分類されます。
このグループには5つの障害が含まれていて、自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害があります。

発達障害情報・支援センターでの定義は、「広汎性発達障害(PDD:pervasive developmental disorders)とは、自閉症、アスペルガー症候群のほか、レット障害、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害をふくむ総称である」とされています。

発達障害は「広汎性発達障害(PDD)」「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」「学習障害(LD)」の3つに分類することができます。

広汎性発達障害と自閉症スペクトラム障害の違いについて

広汎性発達障害(PDD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)の定義の区分は難しいと言えます。

2013年にアメリカ精神学会から発刊された、国際的診断基準のガイドラインであるアメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)においては、広汎性発達障害に分類される障害のほとんどが「自閉症スペクトラム障害」(Autistic Spectrum Disorder:略称ASD)という新たな相性のもとに統合されることとなりました。

「自閉症スペクトラム障害」には、レット障害を除く自閉症、アスペルガー症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害が含まれています。

このことから、「広汎性発達障害」と「自閉症スペクトラム障害」は、レット障害の項目を除けばほとんど同じ内容を指していると考えられます。

広汎性発達障害の3つの症状

広汎性発達障害の症状について説明をしましょう。

広汎性発達障害の主な症状としては、
・社会性・対人関係の障害
・コミュニケーションや言葉の発達の遅れ
・行動と興味の偏り
などがあります。

そのほか、広汎性発達障害のうち多くのひとには「視覚」「聴覚」「味覚」「触覚」などの感覚に対し、特定の刺激に苦痛や不快感を感じるという「感覚過敏」の症状が見られるという報告もされています。
感覚過敏を持っている人が必ずしも広汎性発達障害であるというわけではありませんが、傾向としては多いとされています。

広汎性発達障害の中でも特に、自閉症やアスペルガー症候群は認知度が高くよく知られているものですが、自閉症の多くは知的障害を伴うのに対し、アスペルガー症候群は言葉の発達の遅れが伴わない「知的障害のない自閉症」であると言われています。

また、知的障害のない自閉症は「高機能自閉症」とも呼ばれていますが、アスペルガー症候群との定義の違いが曖昧で、専門家により異なります。