皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「運動療育とその効果」についてです。

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青木
発達障害児は運動が苦手と言われますが、運動療育はこのようなお子さまに良いのでしょうか。
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大竹
どうなんでしょう。でも運動が苦手な裏には別な障害を抱えていたりすることもありますからね。
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青木
えっ、そうなんですか。気になります!すぐに見ていきましょう。

運動療育って何?普通の療育と何が違うの?

運動療育とは

運動療育は、脳からの指令で体の筋肉をうまく動かせるようになるプログラムを取り入れることで日常生活に活かせたり、コミュニケーション能力向上などによる社会的な成長を促す療育活動です。

発達障害のお子さまは運動が苦手という子も多いため、それがマイナスに作用してしまうことが多いですが、運動療育を取り入れることで運動が好きになり他の日常生活での苦手な部分も軽減できるかもしれません。

通常の療育との大きな違いとして運動面にフォーカスした療育のアプローチを行なっている点です。

運動療育がもたらす効果

心や脳への良い影響

出来なかったことが出来るようになる達成感や自信を育み、前向きになることで積極性が生まれます。この経験から積極的に出来ないことへも取り組み、様々な刺激を得て成長していくのです。

歩いたり走ったり単純な運動でも、脳が活性化し脳の発達に良い影響を与え、特に幼児期の早い段階での運動療育を行うことで脳の発達を促します。

筋肉の増加などによる身体基礎能力の向上

幼児期から運動に親しむことで柔軟性やリズム感、バランス感覚などを養い、また日常生活を送る上でも必要な筋力や身体基礎能力も育まれます。

楽しむこととそれを続けるやる気と自己肯定感の育ち

運動による基礎体力の向上や脳への刺激による良い影響が楽しい気持ちを作り、積極的に運動に取り組む意欲を生み「出来た!」という成功体験。そこから次から次へのやる気を生み出し自己肯定感の成長に繋がるのです。

そもそも療育とは

療育(発達支援)とは発達障害児童やグレーゾーンのお子さまに対し発達レベルや特性に応じて、困りごとの解決や将来の自立、社会参加を目指すための支援のことを言います。

グレーゾーンとは

特性が強く生活において困った場面が多く出現するが、発達障害の診断にまでは至っていない状態のこと。

発達障害児はなぜ運動が苦手なの?

発達障害児童には運動が苦手な子が多いと言われますが、そもそもなぜ苦手なのでしょう。

その理由として以下の2点が考えられます。

感覚統合

発達障害児童が運動が苦手という理由の一つに、感覚統合がうまく機能していないということがあります。

感覚統合とは、簡単にいうと脳からの指令で身体を動かし、実行するという一連の流れを言います。運動が苦手な人はこの一連の情報伝達がうまく機能していないということが関係しているのです。

参考元:厚生労働省-障害者自立支援調査研究プロジェクト

発達性協調運動障害の可能性も?

発達性協調運動障害を知る上で、まず必要な情報として協調運動を知る必要があります。協調運動とは、個別の動作を一緒にする運動や動きのことです。

例えば、転がってくるサッカーボールを蹴るという運動は

  • 転がってくるサッカーボールを目で追う
  • 脳内で計算し、タイミングを考え足を動かす

と、大きく分けて二つの個別行動が同時に求められる動作ことを「協調運動」と言います。

発達性協調運動障害のお子さまは同年代のお子さまに比べ、このような協調運動がぎこちないことや不正確ということがあるのです。

また、発達性協調運動障害は発達障害とも併発しやすい為、医療機関による適切な診断を受けるよう心がけましょう。

発達性協調運動障害に興味がある方はこちらの記事もぜひお読みください。↓

運動療育以外の他の療育ってあるの?

ABA(応用行動分析)を取り入れた療育法

ABA/応用行動分析(Applied Behavior Analysis)はアメリカ、カナダなどで標準的に広く取り入れられている発達障害への有効性が認められている療育方法です。

行動の前後には、きっかけと結果があり、その前後に何らかの工夫をすることで生活上の問題を解決していくという概念です。

例えば、Aくんがおかしを買って欲しくて(きっかけ)泣きじゃくってかんしゃく(行動)を起こし、買ってもらえた(結果)

この結果から、かんしゃくを起こしたら買ってもらえたという成功体験を生み出してしまいこのような行動は増えるという悪循環を生み出します。

このとき必要なことはかんしゃくを起こした時に、買ってあげないことで次からかんしゃくを起こす回数が減っていき、やがてなくなるという考え方です。

このようにそのあとに生じる結果によって人はそのことを増やすのか減らすのかを決めているという法則を利用して良い行動を増やし、悪い行動を減らすということを療育に取り入れる方法です。

TEACCH(ティーチ)を取り入れた療育法

ノースカロライナ大学で始まった包括的なプログラムです。環境整備をすることで生活しやすく視覚的な支援により理解を促すという療育法です。

Teaching.Expanding.Appreciating.Collaborating&Cooperating.Holisticの略語で、主に自閉症を抱えるお子さまに向け、過ごしやすい環境、目的別に設定するアプローチを行います。

生活の質の向上のために、周囲の物理的環境・コミュニケーション環境を生涯に渡って設計された支援プログラムで、幼児期から成人期に至るまで長期的な療育計画が立てられます。

環境づくりや関わり方を学んで支援していくといった特徴があり、親も治療者の1人として参加するという点では負担に感じる方がいらっしゃるかもしれません。

SST(エスエスティー)を取り入れた療育法

Social.Skills.Trainingの略語で集団生活での様々な場面をロールプレイング方式で対応方法を学ぶ生活技能向上の訓練方法です。

自分が伝えたいことを相手に正しく伝えたり、相手の話すことに対応するなどコミュニケーション力を向上させることで集団生活への適応能力を育みます。

社会で人と関わりながら生きていくために必要なスキルのトレーニングで、病院や療育センターで受けることもできますが、民間でも多く、ゲーム方式やディスカッション方式など様々なアプローチを使った療育があります。

そもそも療育ってどこでやってるの?

療育(児童発達支援)には、児童福祉施設として定義された「児童発達支援センター」とそれ以外の「児童発達支援事業」の2つがあります。

また医療の提供有無により「児童発達支援」又は「医療型児童発達支援」に分けられます。

参考:児童発達支援の現状について-厚生労働省

児童発達支援センター

児童発達支援センターは、地域の障害のある児童を通所させて、日常生活における基本的動作の指導、自活に必要な知識や技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う施設です。

対象者について

  • 身体に障害のある児童、知的障害のある児童または精神に障害のある児童(発達障害児を含む)
  • 医療型については、上肢、下肢または体幹機能に障害のある児童
  • 児童相談所、市町村保健センター、医師等により療育の必要性が認められた児童
  • 手帳の有無は問わない。

児童発達支援事業

放課後等デイサービスなどを提供している事業者や保育所等への訪問支援を行なっている事業者があります。私たち『アップ』もこの児童発達支援事業になります。

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青木
ちょうどいい機会なので、ここで少しだけ私たちの紹介もさせてください。
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大竹
私たちは、「集団生活の中で生きる力を身につけさせる」ことを理念としています。
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青木
療育についてはワーキングメモリトレーニングとワーキングメモリを使い2つの運動を連結して行う行動、いわゆる協応動作を組み込んでいます。

アップが推奨するワーキングメモリトレーニングはこんなこと!

  • 視空間スケッチパッド:言語化できない様々な事を視覚的ワーキングメモリを使って記憶力を鍛えます。
  • 音韻ループ:自閉傾向の子供が弱いとされる言語的な情報処理を聴覚的ワーキングメモリを使って鍛えます。
  • エピソードバッファ:全てを教えることなく、エピソード記憶や意味記憶、手続き記憶、さらにプライミングを使って長期記憶を鍛えフラッシュバックの上書きを整えます。
  • 中央実行系:ADHDの子供が陥りやすい、どの機能を使えばよいのかを判断する脳の力を高めるために、ワーキングメモリ全体の調整役として集中と定着ができる様に支援いたします。

運動のもとになるコーディネーション運動プログラムを学び、運動や学習に必要な視覚認知機能を高めるトレーニングやコーディネーション能力を高めるための療育を行なっています。

詳しくはこちらをご覧ください。↓

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大竹
療育法ではありませんが、音楽療法や作業療法などもありますよね。
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青木
そうですね。音楽療法も作業療法も広い視点で考えると療育になるのではないでしょうか。
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大竹
いろいろ体験させた上でその子に合うベストな療育方法が見つかるといいですね。

まとめ

運動が、脳に与える影響や基礎体力の向上は障害に関係なく大切なことです。しかし、運動を嫌がる発達障害のお子さまに昔ながらの回数をこなして出来るまでやるとか、無理やり強いることは逆効果な場合もあります。

大切なことは自ら選んだことを自発的に行うことです。すなわち、親として興味を持ってもらえるための環境を整え、楽しみながら成功体験を生み、自己肯定感を育むことができる支援をすることが大切と言えます。

つまり、運動に限らずピアノや水泳などの習い事であっても、お子さまが楽しみながら興味のあることに、親としてどれだけ環境準備してあげられるかが最も大切なことではないでしょうか。