皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「発達障害 ルール 理解できない」についてです。

発達障害の子供はルール理解できない

「何回説明しても分かってくれない。うちの子供は大丈夫かしら…」

お母さんの心配する声が聞こえます。

しかし、この状態は「発達障害に対する正しい理解がないままに、的外れな接し方を行っている」ことが原因かもしれません。

つまり、発達障害を正しく理解して、適切な接し方を行えば、発達障害の子供はルールを理解できるようになるかもしれませんね。

そこで、今回は以下の5つを紹介します。

  • step1 ルールを理解できないことのデメリット
  • step2 発達障害の子供がルールを理解できない本当の理由
  • step3 発達障害の特性を正しく理解
  • step4 発達障害の子供への接し方5選
  • step5 家でも簡単に始められるルールの学び方4選

どうか最後までお付き合いください。

step1 ルールを理解できないことのデメリット

社会には様々なルールが存在します。もし、そのルールを正しく理解できないとしたらどうなるでしょう。

周囲の人たちとうまく付き合うことができず、社会から孤立してしまうかもしれません。

その状態が長く続くと、鬱・パニック障害や引きこもりなどの二次障害を併発するかもしれません。発達障害の子供はストレスに対する耐性が弱いと言われているので要注意です。

お母さんの心配な気持ちは、よく理解できます。なによりも、子供たちが一番不安な気持ちを抱えているでしょう。

それでは、どうして発達障害の子供がルールを理解できないのでしょうか?その理由を詳しくみて行きましょう。

step2 発達障害の子供がルールを理解できない本当の理由

本当の理由(原因)は「子供がルールを理解できない」という視点にあります。

「子供がルールを理解できない」という視点は「伝える側(大人)は正しく伝えているのに、子供が理解できていない」という考え方ですよね。

「問題なのは子供」という視点です。しかし、これでは問題解決は難しいでしょう。

その理由は「発達障害は生まれつき脳が凸凹に発達することによって引き起こされる障害、つまり発達障害は根本的に直すことはできない」からです。

だとすれば、発達障害の特性を理解して、その特性に沿ったサポートを行うのが効果的な方法になりますよね。

具体的に言うと「子供がルールを理解できない」から「子供がルールを理解できるような伝え方を工夫する」へと視点を180°転換することです。

つまり「伝える側(大人)」から「子供たち」への歩み寄りが問題解決の第一歩ですね。

「発達障害に対する理解と助けが必要」と訴える発達障害者のリアルな声に耳を傾けてみてください。

step3 発達障害の特性を正しく理解

発達障害という言葉は世間でも知られるようになりましたが、その障害に対するイメージはどうでしょうか。

「ちょっと変わった子」「一人でいるのが好き」「怠けている」「不真面目」などの誤解偏見が未だに多く見られています。まだまだ、発達障害の特性に対する理解は進んでいないようですね。

しかし、stpe2でお伝えしたように、発達障害の特性を理解しないと子供たちにルールを上手く伝えることができません。

そこで、step3では主な発達障害の特性を私と一緒に勉強してみませんか。

すでに知っているお母さんは、おさらいと思ってサクサクと読み進めてくださいね。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)

この障害には以下の3つの特性があります。

  • 不注意(気が散りやすく、集中できない)

 :うっかりミスをする。相手の話をきちんと聞けない。仕事や時間の管理が苦手。物事が途中でやりっ放し。

  • 多動性(落ち着きがない)

 :用もないのにウロウロ歩く。一方的に話続ける。じっと座っていることができない。飽きっぽい。

  • 衝動性(後先考えずに行動)

 :順番待ちに突然割り込む。思いつきや気分で相手が傷つくことを平気で話す。

この3つの特性を自分が持っていると想像してみてください。

私はこんな風に想像しました。

相手からルール説明を受けたとしても、集中して聞けないので理解が不十分。理解したとしても、衝動的に別の行動をとってしまう。

そして「真面目に人の話を聞いていないだろう?」って言われて「ふざけている訳では、無いんだけど。誤解されて辛いよな」とこころの中でつぶやいている。

お母さんは、どのように感じましたか?

ASD(自閉症スペクトラム障害)

まずは、ASDを分かりやすく紹介した動画をご覧ください。

ASDの特性をみると、対人関係や言葉のコミュニケーションが一種独特ですね。さらに、ASDには、ADHDで見られる多動や不注意も当てはまります。

私たちが普段使っている言い回しでは、うまく伝わらない事が分かっていただけたでしょうか。

LD(学習障害)

学習障害とは、知的発達や視聴覚の機能に問題がないのにも関わらず、読み書き・算数が困難となる障害です。

特徴的な症状を3つ紹介します。

  • 読むのが困難(ディスレクシア)

 :文章がゆがんだり、にじんだり、左右逆さまになったりして見える。どこで区切って読めば良いか分からない。形の似た文字を間違える。

  • 書くのが困難(ディスグラフィア)

 :左右逆さまに書いてしまう。似た文字を間違える。指定の枠内に書くのが苦手。

  • 算数が苦手(ディスカリキュリア)

 :数字の概念が理解できない。簡単な計算ができない。

上記の説明だけでは、学習障害のイメージが難しいと思いますので、以下の動画をご覧ください。

どうでしょうか?

文章を理解するために、費やされる時間と労力は相当なものですよね。動画の後半部でも紹介していたように、タブレットやPCなどの支援が不可欠です。

しかし、現状では本人の「努力不足」と誤解をされ、練習量で補おうとしがちです。発達障害の子供たちは傷ついているかもしれませんね。

学習障害について詳しい知りたい方は、こちらの記事が勉強になりますよ。

感覚過敏

感覚過敏とは、視覚、聴覚、味覚、触覚、臭覚などの感覚に過敏に反応する症状です。

ASDの特性の一つとして説明されることが多いですが、必ず感覚過敏の症状が出るわけでもありません。また、発達障害でなくても感覚過敏の症状が出る場合もあります。

この動画に登場する子供のように、感覚過敏や聴覚過敏を持つと周囲の環境からの過度な刺激によって伝えたい情報が、かき消されてしまうかもしれませんね。

これでは、いくらルールを教えても、子供は上手く対応できませんよね。

この動画でも伝えているように、感覚過敏の特性を理解して、その特性に沿った工夫や対策が大切になります。

小休止

発達障害の特性を抱える人のリアルな日常動画をご覧ください。step3で紹介した発達障害がいくつか登場します。

リアルな映像を見ることによって、発達障害の大変さが想像しやすくなるでしょう。5分ほどの短い動画なので、よかったら視聴してみてください。

ちなみに、この動画に登場する漫画家の沖田×華(おきたばっか)さんの漫画はとても面白いです。発達障害のリアルな日常やその対策がコミカルに描かれています。私もこの動画を見て買いました。興味のある方はどうぞ。

step4 発達障害の子供への接し方5選

さあ、ここから実践編です。まずは、発達障害の子供たちへの接し方です。

発達障害の特性に沿った接し方を学ぶことで、子供たちにルールを正しく伝えることができるようになります。接し方のテクニックはたくさんありますが、今回は基本的な接し方を5つ選びました。

「基本だけ?大丈夫なの?応用編とか無いの?」と聞かれそうですけど、安心してください。

基本的ということは、それだけ発達障害の子育て全般に活用ができるということです。ぜひ、参考にしてみてくださいね。

伝える時の表現は「肯定的・端的・具体的」

発達障害の子供に伝わりやすい3つの表現を覚えましょう。特に、ASDの子供には効果的です。

  • 肯定的:否定語「〇〇しちゃだめ」ではなく肯定語「△△しましょう」を使う。
  • 端 的:説明は1つずつ短く伝える。複数の情報を1度に理解することは苦手である。
  • 具体的:抽象的な表現「ちゃんと」「しっかり」などは避ける。あと、ことわざや比喩なども用いない。

いきなり3つを同時に覚えるのは大変だと思います。まずは、できそうな表現から1つずつ覚えて使ってみてください。

落ち着ける環境を整える

step3の感覚過敏で説明しましたが、発達障害の子供は周囲の環境から様々なストレスとなる刺激を受けている場合があります。

そのような状態にある子供は、精神と体力を消耗しており、ルールを覚える状態にないかもしれません。まずは、心と体が落ち着ける環境を整える必要がありますね。

最近は、感覚過敏を和らげる多くのグッズが販売されています。

今回は、デジタル耳栓とサングラスの商品を紹介します。もちろん、これ以外にもたくさんの商品があります。子供と一緒に探してみるのもいいかもしれませんね。

ルールの視覚化。絵カード知ってます?

発達障害の子供は「聞いて覚える」より「見て覚える」のが得意と言われています。これを視覚優位と呼びます。

そして、この特性を上手く利用したグッズがたくさんあります。一番有名なのが「絵カード」です。

「絵カード」はルールを教えるだけでなく、普段のコミュニケーションにも活用できます。

「絵カード」に関する詳しい内容は以下の記事で詳しく紹介してあります。まだ、知らないというお母さんは、ぜひ1度読んでみてくださいね。

達成感・成功体験の積み重ね

子供にルールを教える時、伝え方のテクニックや環境整備と同じくらい子供の心の状態も大切ですよね。

子供の気持ちが暗く落ち込んでいる時に「あさ、今から〇〇を教えるからね。お母さんと一緒に覚えようね」と言われても「今はそんな気分じゃない」とソッポを向かれるだけなのではないでしょうか。

特に、発達障害の子供たちは、学校生活に上手く馴染めなかったり、友達と楽しく遊べなかったり、失敗やトラブルを起こしがちです。

さらに、発達障害の子供は自分の気分や感情のコントロールが苦手であることが多いです。そのため、子供のこころの状態をしっかりとサポートすることも大切になります。

そこでお母さんに実践してほしいのが、子供に「達成感と成功体験」を積み重ねて行くことです。

この2つが子供たちの自信と自己肯定感を高めて、こころの安定を保ちます。達成感や成功体験は子供のこころを安定させる栄養剤であることを覚えておくてくださいね。

スモールステップ

それでは、具体的にどのようにして「達成感や成功体験」を積み重ねて行けばよいのでしょうか。ここで、覚えてほしいキーワードが「スモールステップ」です。

達成感や成功体験は小さくても大丈夫、積み重ね(回数)が大切です。

毎日の日常生活の中でちょっとしたこと、ほんの些細なことで十分です。

子供ができたことを見つけて「〇〇ちゃん。ちゃんとルール守れたね。すごいね」と褒めてあげてください。

もし、結果に結び付かなかったとしても、頑張った行為を褒めてあげてください。

step5 家でも簡単に始められるルールの学び方4選

それでは「明日からでも簡単に始められるルールの学び方」を4つ紹介します。step4で紹介した子供への接し方も意識して使ってみてくださいね。

ここで紹介するのは、やはり基礎的なものばかりです。「応用力も早く身につけさせたい」というお母さんもいるでしょう。

それでも、まずは土台作りに専念してみてください。親の気持ちがプレッシャーになっては逆効果ですからね。

生活リズムを整える

「ルールを学ぶ」と言うと、コミュニケーション技術、社会性のスキル(礼儀作法・マナー)などの対人スキルが思い浮かびますよね。

しかし、対人スキルは「場面や相手、子供の成長」などによって対応が変わり覚えるのが以外に大変です。

そこで、生活習慣に関するルールから学ぶことをオススメします。比較的、他人に合わせる必要がないので子供たちも取り組みやすいです。

今回は、生活習慣の中でも生活リズムに関するルール「なるべく毎日同じくらいの時間に起きる」を紹介します。ポイントは3つです。

  • 子供が学校に遅れない程度の時間帯に起きる(大体の時間で良い)。
  • 休日も同じ時間帯に起きるようにする(朝起きる楽しみを作り、子供のやる気を持続させる)。
  • 毎日同じ時間帯に起きるようになると、寝る時間も揃ってくる(夜更かしも減る)。

生活リズムが整うメリットは、体の調子や気持ちが安定してくることです。

さらに、この一定の生活リズムに沿って生活を送る経験が、一定のルールを守る経験の土台にもなります。

もちろん、お母さんやお父さんの心身にも、生活リズムを整えると良い効果がありますよね。家族みんなで取り組んでみてはいかがでしょうか。

我が家のルールを決める

生活リズムが整って一定のルールを守る経験の土台ができたら、次は「我が家のルール」を決めてみましょう。ポイントは3つです。

  • 「ゲームの時間・ゴミ捨て」など、子供が主体的に関われる習慣について相談して決める。
  • 「ゴミ捨て」を例にします。子供がゴミ捨する日を決める時「月・金」「火・木」「水・土」のように、具体的な行動を相談して決める。
  • 「起床→身支度→朝ごはん→『ゴミ捨て』→登校」のように1日のスケジュールを決める。

発達障害の子供はスケジュールの管理が苦手なので、1日のスケジュールを決めるのは大切になります。この時「絵カード」を使った説明が大変有効です。

繰り返しになりますが、子供が興味関心を持つものを選ぶのが大切です。

遊び・ゲーム

遊びやゲームは子供が楽しみながらルールを学習することができるツールです。活用しないのは、ちょっと勿体無いですよね。

例えば、お母さんのお手伝いをする時にゲーム感覚を取り入れてみましょう。例えばこんな感じです。

  • 「〇〇ちゃん。今から洗濯物をたたみます。一緒にやりましょう」
  • 「でも、一つ大切なルールがあります」
  • 「それは、上服→ズボン→肌着の順番にたたむことです」
  • 「どっちがたくさん畳めるか、お母さんと競争です」
  • 「用意はいいですか?準備ができたら返事をして下さいね」

そして、最後までやり遂げた時にすかさず「〇〇ちゃん。洗濯物のたたみできたね。ありがとう」と達成感を強く印象づけてあげましょう。

もちろん、全てのルールをこの方法で学ぶことはできません。それでも、順番を守る・我慢する・挨拶などの基本的社会ルールを学ぶには十分ですね。

相談機関や福祉サービスをトコトン活用 

最後に相談機関等の紹介をします。

今まで紹介してきた事を「一人でやらなきゃ」と思ったお母さんいませんか?

子育てはチームワークです。一人で悩みを抱え込まずに、相談機関や福祉サービスとの関わり合いを積極的に作るようにしましょう。お母さんの悩みを一緒に考えてくれる人たちはいます。ぜひ、勇気を持って相談しましょう。

具体的な相談先として、以下の2つがあります。

  • 発達障害者支援センター
  • 放課後等デイサービス

まず、発達障害者支援センターは全国にあります。発達障害に対する専門知識を持ったスタッフが相談にのってくれますよ。全国の発達障害者支援センターの一覧はこちらです。

もう一つが放課後等デイサービスです。多くの事業所が無料相談や体験を行っていますので、子育ての悩みを相談してみるのもいいですね。

放課後等デイサービスについて詳しく知りたい方は、こちらを参照してみてください。


横浜市周辺にお住まいの方は、放課後等デイサービス「運動・学習療育アップ」をオススメします。無料体験も随時行なっています。

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まとめ

発達障害の子供たちがルールを理解できるためには、周囲の大人が発達障害の特性を理解すること。そして、その特性に沿った適切な対応をとることが大切とお伝えしてきました。

「これなら私にもできそう」というものがあれば、試してみませんか。案外うまくいくかもしれませんよ。

最後にもう1つ。お母さんの味方になってくれる人は必ずいます。一人で悩まずに専門家に相談しながら、一緒に考えて行きましょう。

この記事が子供の生活や人生にプラスとなることができたら幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。