年齢別にみた自閉症の症状の現れ方

自閉症(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD))とは、先天的な発達障害のうちの一つです。
発達段階において、社会性と対人関係の障害、コミュニケーションや言葉の発達の遅れ、行動や興味の偏りの三つの特徴が表れますが、成長とともに症状は変化します。

自閉症の症状は人によって個人差がありますが、大まかな年代別の症状は以下の通りです。
ただ、自閉症の人全てが当てはまるわけでなく、現れ方には個人差があります。

幼児期(0歳~小学校就学前)

自閉症含む発達障害は、言語・認知・学習といった発達領域が未発達の乳児の場合、症状の判別がつきにくいことがあります。
そのため、生後すぐに自閉症の診断が出ることはありません。
ただ、幼児期全体を通してみると、特徴的な行動を取っていたことが多いとされています。
以下がその例です。

周囲にあまり興味関心を持たない

自閉症があると、視線を合わせようとしない傾向にあります。
また、他の子どもに興味を持たなかったり、名前を呼びかけても振り返らないという場面も目立ちます。
定型発達の子が興味のあるものを指差して示す一方で、自閉症の子の場合は指差しをせず興味を伝えない傾向にあります。

コミュニケーションを取るのが苦手

知的障害を伴い自閉症のある幼児には、言葉の遅れやオウム返しなどの特徴が見られます。
会話においては、自分の言いたいことを一方的にぶつけたり、質問にうまく答えられないなどの特徴が目立ちます。
定型発達の子どもが友達とのごっこ遊びを好む一方、自閉症の子は集団での遊びに興味を持ちにくいこともあります。

強いこだわりをもつ

興味のあることに対して、同じ質問を繰り返す子どもも多くいます。
また、日常生活において様々なこだわりを持っていて、物事の手順が変わると混乱してしまいがちです。

児童期(小学校就学~卒業)

集団になじむのが難しい

年齢相応の友人関係が持てず、周囲の状況を鑑みずに自分の好きなように振る舞う傾向にあります。
人と関わるときは基本的に何かしてほしいことがある時のみで、一人遊びを好みます。
他人の気持ちや意図を汲み取ることが苦手に感じる子どもも少なくありません。

臨機応変に対応するのが苦手

はっきり定められたルールを好み、場面に応じて臨機応変に対応するのが苦手な傾向にあります。

どのように・なぜ、といった説明が苦手

言葉を上手に扱うことが難しく、単語を覚えても意味が理解できないことがあります。
また、自分の気持ちや他人の気持ちを言葉にしたり想像することが困難です。
そのためうまく説明ができないこともあります。

思春期~成人期(小学校卒業~)

不自然な喋り方をする

抑揚がなく不自然な話し方が目立つことがあります。

人の気持ちや感情を読み取るのが苦手

コミュニケーション能力に乏しく、他人が何を考えているのか想像するのが苦手な傾向にあります。
コミュニケーション能力が乏しく、人が何を考えているのかなどを想像するのも苦手な傾向にあると言われています。

雑談が苦手

目的のない会話をするのを難しく感じる人が多い傾向にあります。

興味のあるものにはとことん没頭する

物事に強いこだわりを持っている人が多く、興味のあることにはとことん没頭し、その分野で成果をあげることもあります。