アスペルガー症候群(AS)の原因とは

アスペルガー症候群とは、社会性やコミュニケーションにおいて、困難のある障害のことです。
アメリカ精神医学会のマニュアル「DSM-5」では、自閉症スペクトラムの診断名に統合されたことから、今後診断名として使われることは減少する見込みです。
しかし、行政や一部医療機関では引き続き使用されており、すでに診断を下されている人もいるため、この記事ではアスペルガー症候群について記載します。

アスペルガー症候群とは先天的な障害ですが、現代医学では未だ研究段階で、明確な原因はわかっていませんが、現在最も有力とされるのは、「脳機能障害」です。

アスペルガー症候群の原因としては、脳内のネットワーク連結機能の異常、脳の部位の機能異常、脳内物質の異常などが考えられます。
つまり、先天的に脳に発生した障害が、アスペルガー症候群の原因とされているということです。

しかし、複数の要因が複雑に影響し合っていると考えられることから、現段階でははっきりとした要因は解明されていません。

アスペルガー症候群は治療可能なのか

アスペルガー症候群は、原因と要因が明確にわかっていないため、現段階で医学的に根本治療をする方法はありません。

しかし、アスペルガー症候群の特徴を緩和したり、社会に対応できるようトレーニングや療育を受けることは可能です。
また、二次障害を抑えるための治療やトレーニング、療育、サポート学習なども、生きづらさを軽減するために有効とされています。

それぞれの特性に合わせたトレーニングや療育をすることで、生活しやすくなったり、コミュニケーションが円滑に取れるようになります。

治療を行うことで、明らかに本人の生きやすさに良い影響がもたらされるとされています。
周囲の人がいち早く本人の困難に気づき、専門家の力を借りながら療育を続けることが大切です。

アスペルガー症候群の治療の判断基準とは

アスペルガー症候群は、先天的な発達障害のうちの一つです。
しかし、障害が明らかになる時期は、人それぞれ異なります。

発達障害は、発達療育が未発達の乳児期に判明することはありません。
また、アスペルガー症候群は他の発達障害の特徴と共通することもあるため、診断が難しいとされています。
後になって振り返ると、乳児期に特徴が見られたという場合がほとんどです。

幼児期以降になって、集団生活が始まると、周囲の子どもとの違いや子供の持つ特性が顕著になります。
目があっても笑わない、同世代の子どもとうまく馴染むことができない、他人を傷つけるような発言をするなどの困りごとが出てくることで、診断を受けるケースが多くなります。
ただ、成長期に気づかず未診断のまま大人になることもあります。

アスペルガー症候群にとって大切なのは、早期発見と早期療育です。
周りがいち早く気づき行動することで、本人の生きづらさは軽減されます。

早期療育に関しては効果が出やすいともされている上、早い段階で適切な対処法を身につけると辛い体験をすることが減ります。
アスペルガー症候群の特徴やトラブルが見られるようなら、気づいた段階で専門機関に相談しましょう。