皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「ロングスリーパー発達障害の関係」についてです。

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大竹
睡眠に関する悩みは大人に多いイメージがありますが、実は、睡眠で悩んでいる子供も少なくありません。
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青木
「寝る子は育つ」という言葉はありますが、「寝てはいけない時に」に眠くなるのは困りますよね。

どこでも寝れるという人がいれば、睡眠が浅い、寝つきが悪いという人は沢山います。またこの一方で、「発達障害を抱えている人はロングスリーパーになりやすい傾向にある」とも言われているのです。

子供の睡眠は、成長に大きく影響します。

この記事では、この2つの関係や対策について解説していきますので、ぜひご覧下さい。

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大竹
睡眠について、一緒に考えていきましょう。

ロングスリーパーと発達障害の関係

発達障害に限らず、睡眠に関する悩みを持つ人は多くいます。

  • 夜遊びや生活習慣の乱れ
  • ストレスなどからくる不眠症
  • 育児や家事の影響
  • 睡眠時無呼吸症候群  など

睡眠に関する原因は様々です。これに併せて、ASD(自閉症スペクトラム障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)を抱えている子供では、睡眠に悩みを抱えている割合が高いと言われています。

しかし、この2つの発達障害が、何故睡眠へ影響を与えてしまうのかについては詳しく分かっていません。

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青木
ASD・ADHDを抱えている子供は、睡眠に悩みを持ちやすいということですね。
POINT

発達障害を抱えている人が必ず睡眠障害になるわけではありません。

また、睡眠に悩みがあるからといって、発達障害を抱えているわけでもありません。

ロングスリーパーとは

一般的に「9時間以上の睡眠を必要とする人」をロングスリーパー(長時間睡眠体質、長時間睡眠者、長眠者)と呼びます。

ショートスリーパー

一般的に「6時間未満の短い睡眠時間で十分な人」をショートスリーパーと呼びます。

ロングスリーパーは人口の5~10%程度存在すると言われており、典型的なロングスリーパーは10-12時間、重症の方で20時間の睡眠が必要です(参考・NPO法人 過眠症患者会 公式HP)。

あくまでも推計値ですが、日本人口を約1億2000万人とすると約600万人~1200万人の国民がロングスリーパーということになりますね。

そして、ロングスリーパーは、本人にとって必要な睡眠時間さえ確保できれば、問題なく生活が送れるため「健康な過眠症」と呼ばれ、大変さを理解されないことも多いようです。

現段階では「睡眠障害ではなく、極端に長い睡眠時間が必要な体質。あくまでも正常の範囲内」という扱いになっています。

しかし、ロングスリーパーは十分な睡眠時間を確保できないと体調を崩してしまいます。そのために、日常生活に困難を抱えている人たちがいるのも事実です。

うちの子は毎日睡眠時間を14時間以上取ります。連れていく病院によってロングスリーパーと言われたり、特発性過眠症と言われたり、診断名が変わりますのでよく分からないですが、今の病院ではロングスリーパーと言われています。

時々17-20時間位起きてこないこともあり食事をすることすらも困難です。毎日14時間以上の睡眠が必要でも障害でもなく病気としても認められないのでしょうか?

引用元:NPO法人 過眠症患者会 公式HP 体験談(Testimonials)より

繰り返しになりますが、ロングスリーパーを障害として捉えるかどうかは検討中です。未だ分類が確定していない、グレーゾーンに属する睡眠問題と言えます。

それ故に「怠けている」「努力不足」といった辛い対応をされることも多いようです。

過眠症との違い

ロングスリーパーと混同されやすい症状に過眠症が知られています。両者の違いを解説しておきますね。

二つの症状の違い

・ロングスリーパー:睡眠時間を十分に取れば、日中に眠気はない。
・過  眠  症 :睡眠時間を十分にとっても、日中に強い眠気や居眠りを繰り返す。

過眠症の代表的な症状「ナルコレプシー」を例にして、詳しく説明してみましょう。

ナルコレプシーの症状は、夜間十分な睡眠を取っているにも関わらず、逆らうことのできない強い眠気に日中襲われます。それも、会議中、デート中、運転中など通常では考えられない状況で突然居眠りをしてしまいます。

一方、ロングスリーパーの場合、夜間十分な睡眠を取っていれば、日中に過眠症のような強い眠気に襲われることはありません。

両者の違いを分かって頂けたでしょうか。時々、混同して使っている場合があるので注意してください。

睡眠障害は4つのタイプに分けられます

日常生活に支障が出るほどの深刻な睡眠の悩みは、睡眠障害と呼ばれます。

現在、70種類以上もの睡眠障害が知られており、その症状によって大きく4つのタイプに分けることができます(参考・厚生労働省)。

睡眠障害の種類

(1)不眠(寝つきが悪い、途中で起きてしまう、熟睡できない)  

(2)過眠(夜に十分な睡眠を取っても、日中に強い眠気や居眠りを繰り返す)

(3)就寝時の異常感覚(睡眠中に四肢の運動が起きる。そのため、途中覚醒、浅い眠り、不眠になる)

(4)睡眠・覚醒リズムの問題(体内時計が24時間周期に同調できない。そのために、生活リズムが乱れる)

一般的には「睡眠障害=不眠」というイメージがありますよね。しかし、睡眠障害の症状は多種多様であることが分かります。

発達障害とロングスリーパー

発達障害児のロングスリーパーは見過ごされやすい

注意欠如多動性障害(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)児の25~50%が睡眠に関する何らかの問題を抱えていると言われており1),成人の場合は半数以上が問題を有しているとの報告がある。

引用元:週刊日本医事新報  4852号(2017年・37ページ)

上記の引用文にあるように、発達障害の子供(大人)は健常者よりも睡眠に問題を抱えやすいことが知られています。

そのために、睡眠時間が長く、過眠症のような症状がみられない場合、ロングスリーパー体質の発達障害児である可能性があります。

しかし、ロングスリーパー体質かどうかを見分けることは難しいでしょう。

一つ目の理由は「寝る子は育つ」と言われるように、大人に比べて子供の睡眠時間は長いのが普通だからです。

「成長すれば、睡眠時間も普通に戻るだろう」と思って、見過ごしてしまうのではないでしょうか。

二つ目の理由は、ロングスリーパーが睡眠障害として定義されていないので、世間での認知が低いままです。

そのため「ロングスリーパーは体質であり病気ではない」「長時間寝ているだけの怠け者」「甘えているだけ」と周囲の人から思われ、見過ごされやすくなります。

いずれにしても、ロングスリーパーの大変さを理解してもらえずに、生活を送っている子供たちが少なからず存在しているのではないでしょうか。

https://twitter.com/guwaprogramming/status/1235269948907212800

ロングスリーパーの人たちは、人知れず努力や工夫をしているのですね。

発達障害と睡眠覚醒リズムの乱れ

そもそも、なぜ発達障害の子供は睡眠に問題を抱えやすいのでしょうか。

考えられる原因の一つに「発達障害児の睡眠覚醒リズムは乱れやすい」ことがあります。

その睡眠覚醒リズムの乱れが「寝つきの悪さ」「不規則な睡眠リズム」「昼夜逆転」「寝起きの悪さ」「日中の眠気」などの様々な睡眠問題を引き起こすと考えられているようです。

睡眠覚醒のリズムが乱れる原因として、以下のことが考えられています。

睡眠覚醒リズムが乱れる原因

・発達障害の子供は「時間管理・計画的に物事を進める」ことが苦手です。そのため、インターネットやゲームに一度夢中になると寝ることも忘れて没頭してしまいがちです。その結果、睡眠覚醒のリズムに悪い影響を与えてしまいます。

・発達障害は脳がアンバランスに発達することによって起こる障害です。このアンバランスな発達が、睡眠覚醒のリズムに大切な役割を持つ「視床下部や脳幹の機能」に影響を与えているのではないかと言われています(参考:星野仁彦「発達障害に気づかない大人たち」祥伝社 2010年 P88)。

・発達障害は、うつ・不安障害・パニック障害・引きこもりなどの二次障害を併発しやすいことが知られています。そして、それらの二次障害によるストレスや処方される抗精神薬の副作用が原因となる場合があるようです(ウィキペディア)。 

このように発達障害の子供たちの睡眠問題は、障害の特性によるものであり、本人の努力不足とは関係ないことが分かりますね。

しかし、そのまま放って置くと、睡眠時間だけでなく、不登校、引きこもり、うつなどの二次障害を併発するかもしれません。何らかの睡眠対策が必要になります。

5つの睡眠対策

ロングスリーパー体質そのものを改善するのは難しいでしょう。

しかし「生活リズムを整えて、良質な睡眠をとる」ことによって「睡眠覚醒のリズムの乱れ」を小さくすることはできます。

結果的に、ロングスリーパー体質による日常生活への影響を小さくすることに繋がるのではないでしょうか。

そこで今回は5つの対策を紹介します。ロングスリーパーだけでなく、その他の睡眠問題を抱える子供たちにも活用できますので、ぜひ参考にしてください。

対策1:ぬるめのお風呂に入る

夜間、ぐっすりと眠るためには、リラックス状態になることが必要ですよね。そして、このリラックス状態になるには「副交感神経が活発な状態」をつくることが大切です。

そこで、毎日簡単にできる方法あります。それは「ぬるめのお風呂(約38度)にゆっくり(15分程度)とつかる」ことです。一度ためしてみてはどうでしょうか。

注意

熱いお風呂に入ってしまうと交感神経が刺激されてしまい、寝つきが悪くなりますよ。

対策2:日光を浴びる

日光を浴びる行為は質の良い睡眠を得るために大変重要です。なぜなら、日光には「睡眠ホルモン・メラトニン」の分泌調整を行う働きがあるからです。

メラトニンは眠りを誘う作用だけでなく、睡眠覚醒のリズムの調整も行っている大切なホルモンです(参考・厚生労働省)。

そして「朝の日光が一番効果的」みたいですよ。まずは、カーテンを開けて部屋に朝日を取り込むことから始めてみませんか。

注意

夜の光(照明)は逆効果なので注意しましょう。また、蛍光灯の色は暖色系が良いみたいですよ(参考・厚生労働省)。

対策3:過集中にならない

発達障害の特性として、一つのことに集中し過ぎてしまう傾向があります。そのため、寝る時間も忘れて夜更かしをしてしまいます。

長時間睡眠が必要なロングスリーパーにとって、自分の首を絞めているようなものですね。

なので、お母さんが子供の時間やスケジュール管理を手伝ってあげましょう。

例えば、次のような工夫をしてみてはどうでしょう。

  • 寝る前は、脳に刺激を与えるもの(PCやスマホ)を控える
  • タイマー(アラーム)を使って時間を決めて遊ばせる
https://twitter.com/totoblogcom/status/1231035718555721728

上記のツイッターのように、日中の活動時間が限られているので、お母さんが上手く時間管理をサポートしてあげれるといいですね。

対策4:感覚過敏への適切な対応

発達障害児の中には、光や音などに対して、日常生活に支障が出るほどに過敏に反応してしまう場合があります(感覚過敏)。

その感覚過敏が日常的なストレスとなり、睡眠の質に影響しているかもしれません。そのため、何らかの対応策が必要になりますね。

音に過敏な場合。特に、寝る前に音が気になってしまうと、なかなか寝付けせんよね。このような音に過敏な人には「イヤーマフや耳栓」を使ってみるのが良いかもしれません。

光に過敏な場合。部屋の照明が眩しすぎてストレスとなっている場合があります。また、寝室の蛍光灯は「昼白色や昼光色」より「電球色」が良いかもしれません。

LEDの蛍光灯には、明るさや色を調節できたり、お休みタイマー機能のついた製品もあるので、活用してみるのも良いかもしれませんね。


加重ブランケット

一般的な毛布より重めに作られた毛布のこと。圧迫刺激による快眠を目的として作られています。ADHDや自閉症の子供に使われることも多いようですよ。

対策5:朝食と継続した運動

朝食は脳を覚醒させます。脳への活動エネルギーの補給にもなりますね。朝食も摂らずに、頭がぼーっといている状態で日中を過ごせば、夜の睡眠に影響しかねません。

運動も質の良い睡眠を得るには大切ですね。ロングスリーパーはどうしても睡眠時間が長くなるので、日中の活動時間が短くなります。そのため、運動不足になりがちです。

ポイントは継続して運動を続けることです。ただし、激しい運動や就寝前の運動は、頭を興奮させることにつながるので注意しましょう。

相談機関を活用

お母さんが不安になったり、悩み始めた時が、相談のタイミングです。

一人で悩まずに、発達障害の専門機関に相談をしましょう。

子育ては大変ですよね。まして発達障害の子供となれば、障害に関する専門知識も必要となるので更に大変になります。

そんな時、お母さんの不安な気持ちに寄り添いながら、子供の成長を支えてくれる専門家の存在は大きいですよね。

相談機関を利用することによって、同じ悩みを抱えているお母さんと知り合いになれるかもしれませんよ。悩みを相談しながら、役立つ情報の交換をすることも可能です。

まずは、お住まいの地域にある「発達障害者支援センター」か「子供発達支援センター」に相談をしてみましょう。

相談先

全国の発達障害者支援センターの一覧表です。


子供とその家族の支えとなる福祉サービスを目指している「運動・学習療育アップ」では「集団生活の中で生きる力を身につけさせる」を理念とした療育支援を行っています。

そして、良質な睡眠を得るために大切となる「運動」の療育に力を入れています。

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まとめ

発達障害の子供は睡眠問題を抱えやすいので、人知れずロングスリーパー体質で悩んでいる子供たちが多いかもしれません。

しかし、ロングスリーパーは、まだ睡眠障害として認められていない、グレーゾーンに属する睡眠問題です。

そのため「普通より睡眠時間が長いだけ」「怠けているだけ」という対応を受けやすく、子供たちは苦しんでいるかもしれません。

今回の記事で、ロングスリーパーに対する正しい知識と睡眠問題への対策法を取り上げました。睡眠に関する子供たちの悩みが少しでも和らげば幸いです。

最後になりますが、お母さんは決して一人で悩まずに専門機関に相談しましょう。そして、子供たちの睡眠を一緒に考えて行きましょうね。