皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。今日のトピックは「アスペルガー症候群の中学生」についてです。

アスペルガー症候群は、年齢によって症状の現れ方が異なります。

今回は中学生から高校生を経て成人期において見られる症状をそれぞれ解説するので、ぜひ参考にしてください。

アスペルガー症候群とは

アスペルガー症候群とは、発達障害のうちASD(自閉スペクトラム症)に見られる症状の一つです。

これまでASD(自閉スペクトラム症)は、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などさまざまな呼び方をされていましたが、2013年にDSM-5(※)改訂に伴い名称がASD(自閉スペクトラム症)に統一されました。

よって現在は、ASD(自閉スペクトラム症)の中におけるアスペルガー症候群となります。

※DSM-5とは医師が診断する際に使う基準です。

アスペルガー症候群の症状で特にみられる特徴は以下の通りです。

  • 人とのコミュニケーションが取りにくい
  • あいまいなことが苦手で白黒つけたがる
  • こだわりが強く、自分なりにルールやルーティンがある
  • 感覚が過敏、または鈍感
  • 知的障害を伴わない

参考元:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|厚生労働省

ASDは他の発達障害(ADHDやLD)との併発も考えられるため、日常生活を送るのに困難である場合は早目に相談しましょう。

以下の記事ではアスペルガー症候群の診断が受けられる場所について解説しています。併せてご覧ください。

中学生や高校生で見られる特徴

中高生は思春期と重なる時期でもあることから、周囲の人から特性への理解が得られず本人にとって苦しい時期になり得ます。

この時期は大人へ成長する段階でもあり重要な時期にあたるため、家庭や学校における周囲の理解と適切な対処が必要です。

アスペルガー症候群の特性を持つ中高生に見られる傾向をまとめます。

友達関係を構築するのが難しい

中高生になると小学生時代に比べ、趣味嗜好がより深まります。
クラス内でのグループもはっきりと分かれることから、人間関係における問題が増えてしまいます

コミュニケーション能力における困難さから、自分の居場所がわからなくなったりなかなか友人が作れず悩む人もいるでしょう。

また、言いたいことをそのまま伝えてしまうせいでクラスメイトとぎくしゃくする可能性もあります。

意見の食い違いを必要以上に増やさないためには、家庭内でできたこととを褒めできなかったことを改善するよう伝えてみてはいかがでしょうか。

【改善例】

クラスメイトA子さんの好きなアイドルについて、アスペルガー症候群のB美さんは興味がなく「何が良いのか理解できない」と思ったことをそのまま伝えたらA子さんはショックを受けた。

家庭内でできること:たとえ興味がなくてもA子さんの好みは否定せず、そのアイドルについてB美さんが気になった点を否定せず伝える努力をする。

学習面での問題

アスペルガー症候群に加え学習障害もある場合、中高生になり学習内容が高度化することで、苦手な分野の学習についていくのが難しくなるかもしれません。

しかし得意な分野や興味のある科目については、やる気を持って根気強く取り組めるため、好成績を出せる可能性があります。

中高生期は学習面での問題が目立つ時期でもありますが、それと同時に本人の長所、強みが明らかになる時期です。

この時期に将来のビジョンを具体的に描けるよう、周囲が理解を持って工夫することが必要です。

発達障害のお子さんを育てる大前提として、なるべく得意な教科を伸ばしてください。

ですがどうしても不得意な教科は避けて通れない時があります。その時の改善例は以下の通りです。

【改善例】

アスペルガー症候群のC人さんは、座学は得意でも運動が苦手。近々運動会があり、いくつかの競技は強制出場である。

練習中も良い結果が出ずクラスメイトからは「まじめにやっているのか」と不審がられてしまった。

家庭内でできること:不得意なことは頑張っても結果が出ないかもしれない。

そのかわり以前よりは動きがよくなったなどできたことを褒めよう。けっして他人と比べてはならない。

登校拒否の問題

アスペルガー症候群の特性によって、場の空気が読めず対人関係に問題が生じたり、周囲から浮いてしまい孤立することがあります。

最悪の場合、いじめにつながり不登校を引き起こしてしまいます

不登校の要因には人間関係以外に学習面の問題にも影響が出るかもしれません。

子どもに登校を拒否する様子が見られた場合、学校と連携して早めに対策に取り掛かるべきでしょう。

アスペルガー症候群の人は、環境を整えるのも一つの手です。感覚に敏感または鈍感なため、自分に合った環境であれば実力を発揮できます。

【改善例】

D男さんは周囲の音に敏感で、少しでもうるさいと頭痛がしてしまう。頭痛が頻発することから、休みがちになってしまった。

家庭内でできること:イヤーマフ装着や静かな場所での授業参加(リモート参加や保健室利用など)を先生に提案する。

イヤーマフは雑音を消してくれる優れものです。

ネットでも多数発売されていますので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。

成人期(18歳〜)

社会生活を送るためには、周囲の理解とサポートに加え本人が自分自身を理解すること、対処法を用意しておくことが大切です。

成人期に見られるアスペルガー症候群の困難をまとめます。

職場でのミスや人間関係のトラブル

アスペルガー障害の特性によるコミュニケーションの苦手さや、周囲の状況を判断して協調することの困難さ、不注意やこだわりによって、仕事に支障が出る場合があります。

例えば遅刻やスケジュール管理のミス、効率よく仕事をこなせないなどの問題によって、マイナス評価が多くなってしまうこともあるでしょう。

そのほかにも、職場での人間関係に悩むこともあります。

自分で自分の得意なことや苦手なことを理解して、苦手なことへの対処法を考え、相談できる人を増やすことが大切です。

以下の漫画は精神科の先生が主人公の作品です。1巻の冒頭の話題はASD(自閉スペクトラム症)を抱える社会人が患者なので、共感できる部分が多いでしょう。

興味のある方はお読みになってみてはいかがでしょうか。

二次障害

周囲に理解を得られず困難な生活を送ることで、二次障害が起こる可能性があります
うつ病やパニック障害、ひきこもりや家庭内暴力などがその一例です。

これらの兆候が見られる場合、早めに支援機関や医療機関に相談しましょう。

二次障害については以下にまとめていますので、併せてご覧ください。

まとめ

今回は、中学生から高校生を経て成人期におけるアスペルガー症候群の特徴をお伝えしました。

自分の得意不得意を理解し、環境を整え、周囲へ協力を得ることから始めてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。