皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害の人達は見え方が違う」についてです。

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青木
発達障害の人が見る世界は健常者が見ているものとは違うそうですが、どう違うのでしょう?
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大竹
少し話を聞いただけではイメージしづらいですよね。具体的にどう見えるのか?どんな対策やサポートが必要なのか解説しましょう。

近年の研究で発達障害の人達が見る世界は健常者の人達の見え方とは随分違っていることがわかってきています。

この記事では、実際に発達障害を抱える人たちはどう見えているのかを解説しながら生活に支障が出てしまう原因やその改善、サポートできることについて解説します。

また、最新技術を使って発達障害の人達の見える世界を再現している事例などから、今後の発達障害の社会認知の可能性についても考えてみましょう。

発達障害の人たちが見ている世界とは

視覚に対する障害は全ての発達障害の症状に発症事例がありますが、中でも広汎性発達障害とディスレクシアの人に多い傾向があります。

広汎性発達障害

コミュニケーション能力や対人関係に難がある、パターン化した行動や強いこだわりなどの特徴がある先天的な脳の機能障害の分類のこと。

ディスレクシア

読み書きに困難さのある障害で、知的能力や勉強不足などが原因ではなく脳機能の発達に問題のある障害

具体的にはどのように見えるのかを以下で解説していきましょう。

発達障害で視覚過敏をもつ人の見え方

発達障害で「見え方」に問題がある場合、大きく2つのタイプがあります。

・視覚過敏による痛みや不快感
・発達障害による物事の見え方、捉え方が違う

視覚過敏による痛みや不快感

発達障害の人全てではありませんが、人によっては感覚過敏を併発する方がいらっしゃいます。

感覚過敏

聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚など様々な感覚に対して強い刺激を感じ、痛みや不快感を伴う障害。
症状の強さは個人差があり、複数の感覚に症状が見られる場合もある。

視覚過敏とは感覚過敏の内、視覚に敏感な症状が現れるものです。
視覚過敏の主な特徴は以下のとおり

・太陽光が眩しすぎて目が痛い
・本の字がにじんだり、歪んだりして見える
・カラフルな色を見ると目がチカチカして気分が悪くなる
・蛍光灯のちらつきが気になる

今までは、「周りの人も同じように見えている」と思い、無理をして我慢をしていたものが、近年、発達障害が認知されるようになり、当事者たちが違和感を訴えるようになったことで社会に知られるようになりました。

発達障害の症状だけでも様々な苦労を伴いますが、感覚過敏を併発する場合は更に困難を伴います。

日常の生活では、家の中でも太陽の光が眩しい為、カーテンを閉めたまま。
昼間に外出する時は全体が真っ白に見えて人の顔も判別できない。
空中には粉雪のような光の粒が舞っているように見えて目が痛い。
といった話が聞かれます。

また、視覚情報に過敏なため、定型発達の人には気づかない細かなことに気づいたり、入ってくる情報が多すぎてすぐに疲れたり、パニックになることもあるので生活への影響は深刻です。

発達障害による物事の見え方、捉え方が違う

発達障害により物事に対する解釈や見え方が違う為に、相手の感情を理解できなかったり、コミュニケーションがうまくできなかったりする症状です。

発達障害の中でも広汎性発達障害の人に多い傾向があり、言葉で伝えなければ、表情や声から感情を読み取ることができない、もしくは気づかない、といった問題があります。

このことから、相手が不快になるかもしれない言葉を気付かずに言ってしまうことがあります。

ディスレクシアの見え方

ディスレクシアの人が見え方で困る点は文字の見え方が変わっている点で、以下にその例をご紹介します。

・文字がにじんだり、ぼやける
・鏡文字のように文字の左右が反転して見える
・文字が点で描いてあるように見える
・文字が歪んだり、浮かんでいるように見える

具体的に日常で困るのが、電車の行先表示が読みづらい、学校や仕事で文字を読めない、音読で言葉に詰まるといったことです。

実際、ディスレクシアの方には文字がどう見えているのか?
ディスレクシアをもつ当事者の方がアプリで自作したイメージ画像が以下。

確かに、これでは1ページ読むだけでも大変なのがわかります。

見え方が違う原因とは

どうしてこのように見えてしまうのか?
実は、視覚過敏、ディスレクシアどちらもはっきりとした原因は2020年現在もわかっていません。
しかし、現時点で判明している原因を知る事で、対処やサポートの方法もイメージしやすくなるでしょう。

発達障害をもつ人の視覚過敏の原因

前記したとおり、はっきりとした原因はわかっていませんが、原因の元は脳にあることは、ほぼ間違いないことがわかっています。

人は目で受け取った情報を脳が受け取り、「見えるもの」を認識していますが、情報を受け取る脳が過剰に反応してこのような症状が現れます。

視覚過敏は目が原因ではなく、脳の中枢神経の異常、もしくは発達に問題があると考えられていて、ストレスや不安などで症状が悪化する場合もあり、心理的な状態も症状に影響を及ぼすことがあるようです。

発達障害をもつ人の見え方、捉え方が違う原因

以下の動画では広汎性発達障害に分類される、自閉スペクトラム症の人には物事がどう見えるのかを分かりやすく説明されているのでご覧になってみてください。

この動画ではある実験の紹介映像が流れ、その後に質問があります。
その質問に対する答えで 自閉スペクトラム症の傾向がわかるようになっているので興味のある方は答えを見ずに動画を最初から見て質問に答えてみてください。
自身の物事の見え方がわかって興味深いと思いますよ。

一つ注意点で、DVや虐待の経験がある方は気分が悪くなる場合もあるようなので、もし気になる方は視聴をやめておいてください。

ディスレクシアの原因

ディスレクシアにおいてもその原因は脳にあるとされています。

ディスレクシアの方は「見え方が違う」ことは先にもご紹介しましたが、この他にも様々な特徴があり、例えば以下のようなものです。

・文字を一つづつしか読めない
・読んでいる所を指で押さえないと読んだ場所を見失う
・聞くと同じ音(「わ」と「は」など)の違いを間違う

この場合、根底となる問題は文字の見え方や音韻が理解できないことにあります。
症状は人によって違いますが、見え方と音韻の問題が重なると、文字が読みづらい上に一文字ごとの発音が難しいため、たどたどしい読み方になってしまいます。

音韻

音韻とは言語体系(例えば「あいうえお」)の中で同じ音と解釈される音群のこと。
例えば、「キ」と言ってください、と言われ発音した「キ」と「デンキ」と言った「キ」では発音が違います。

症状を和らげる方法や対策

視覚過敏やディスレクシアは脳の機能の偏り、もしくは異常により起こっていることで、本人の努力や慣れでどうにかなるものではありません。
このため生活の中での工夫や対策は必須です。

一方、発達障害による物の見え方、捉え方は改善が可能な部分です

これらの違いを意識しながら、具体的に効果があったと意見のある対策を以下にご紹介していきます。

発達障害をもつ人の視覚過敏への対策

効果があったと声がるのは以下のような対策です。

・ 遮光メガネをかける
・ 画面の彩度を下げてブルーライトカットシールを貼る
・電車やバスなどの移動中は目を閉じて休む

■遮光メガネをかける

当事者の方が最も効果があると話すのがサングラスなど遮光効果のあるメガネをかけることです。

視覚過敏をもつ人が最もストレスに感じるのが「光」と「色」です。
ですので、物理的に光や色を遮断する サングラス、偏向レンズメガネ、パソコン用メガネをかける などは最も効果が高いでしょう。

実際に視覚過敏の方の多くがサングラスなどの遮光ガラス商品を使用しており、「楽になった」という声が聞かれます。

■画面の彩度を下げてブルーライトカットシールを貼る

現在はスマホやPC、タブレットなどの画面を見ることが増えましたし、生活で使用するのが必要な場面も多いかと思います。

ですがパソコンの画面は健常者でも目に刺激が強いので、視覚過敏の方にとっては更に辛いことでしょう。

ですので、画面にはブルーライトカットのシートを付けるようにしましょう。
ブルーライトは人が認識できる光の中で最も強い光とされているので、これを遮断することは目への刺激の軽減に役立ちます。

■目を閉じて休む

外出中などは様々な色や光で疲れてしまうことも多いため、こまめに目を休息させましょう。

例えば、電車やバス、車などで移動中は目を閉じておく。
可能であれば同行者に手を引いてもらい、目をつむっておくなどです。
(※危険が伴う場所では避けましょう)

発達障害をもつ人の見え方、捉え方が違う対策

発達障害を持つ方でコミュニケーションに問題がある人は相手の感情を理解することに難がありますので、コミュニケーションの工夫で人間関係を円滑にできるよう心掛けてみましょう。

例えば、言葉づかいを丁寧にする、相づちをうつ、といったことです。

もし相手が気分を害している時は素直に相手や他の人にその理由を聞いてアドバイスを求めましょう。

こうすることで、「傷つけるつもりはない」意思表示にもなりますので、相手も「悪気は無い」ことを理解してもらえるはずです。

ディスレクシアをもつ人への対策

ディスレクシアをもつ人には文字が変形して見える「見え方」の問題と、文字を読むことに難がある「文字の認知が困難」である二つの原因があります。

ここでは、それぞれの対策方法についてご紹介していきましょう。

見え方の問題への対策

見え方に対する工夫は、文字が歪んだり、浮いたりして見える特性があっても、できるだけ読みやすくする工夫が必要です。
その工夫の方法が以下になります。

・読む箇所をハイライト、蛍光マーカーを付ける
・文字フォントはシンプルなゴシック体
・読む行以外を隠す
・色付きの透明シートを当てて読む

それぞれの方法が有効な理由について解説していきましょう。

■ 読む箇所をハイライト、蛍光マーカーを付ける

例え文字や文が歪んでいても、読む箇所をハイライトすることで読む範囲がわかりやすくなることがあります。

以下の記事で見え方の画像が紹介されていますので参考にしてみて下さい。

■ 文字フォントはシンプルなゴシック体

例えば明朝体などは、以下の画像のように文字の線の太さが変わるためディスレクシアの方には読みにくいことがあります。

一方ゴシック体は線の太さが一定でシンプルなため見やすい傾向があります。

健常者にとっては些細な違いに見えますが、ディスレクシアを持つ人にとっては見やすさは随分変わってきますのでフォントを色々変えてみて読みやすいものを探してみても良いかもしれませんね。

■読む行以外を隠す

自分の見たい箇所を間違えないように、読みたい文の下に定規を当てて見る方法は、皆さん一度はやったことがあるのではないでしょうか?
この方法はディスレクシアの方にも有効なことがあります。
できれば上下、左右両側を隠すことで効果が上がるので試してみると良いでしょう。

■ 色付きの透明シートを当てて読む

背景が白で文字が書いてあるよりも、「背景に色が付いていた方が見やすい」という人もいるので 色付きの透明シートを当てて読むのも効果がある場合があります。

色付きシートを当てて読む方法で文字が見やすくなる理由は科学的にも証明されていて、以下の商品は読みにくさを軽減するための工夫がされていますので活用してみてはいかがでしょうか。

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文字の認知に難しさがある人への対策

この場合は、文字の読み方や音韻に問題があるため、文字を音に変換したり、意味を考えるのが難しかったりします。

例えば、文章のどこまでがまとまりなのか理解できない場合があるため 、/(スラッシュ)を入れることで区切りがわかりやすくなり、読みやすくなるでしょう。

また、漢字を読むときはフリガナを振っておくことで、意味を理解する処理が簡単になり、読みやすくなる場合もあります。

サポートできることは?

発達障害をもつ人の視覚過敏へのサポート

視覚過敏に限らず感覚過敏はなかなか理解してもらうのが難しい障害とも言われます。

周りでどんなサポートができるのかご紹介していきます。

視覚過敏マーク

視覚過敏をもつ方の中には、夜間も車のヘッドライトや街頭なども辛いと感じる方も多く、そんな方は昼も夜もサングラス等をかけていることもよくあります。
昼間はともかく夜間にサングラスなどをかけていると、周囲から不審がられるという悩みをもつ方も少なくありません。

そんな方は、「視覚過敏マーク」を シールなどにしてカバンなどに貼ってみるのはいかがでしょうか?

「視覚過敏マーク」 とは視覚過敏であることを周囲へ認知してもらうために石井マークという企業が作成したシンボルマークです。
こちらのページから無償配布されていますので利用してみてはいかがでしょうか。

子供であまり見栄えを気にしなければ、カバンや帽子といった複数の場所に付けて目立つ位置に貼っていれば周囲にも理解や認知の可能性は上がりますね。

落ち着く環境を用意する

普段から落ち着く環境や、辛いと感じた時に退避できる場所などを用意しておくと心理的にも安心します。

学校ではあまり日の光が入らない席にしてもらったり、可能ならば白い蛍光灯からオレンジ色の蛍光灯へ変えてもらうといったことで、症状が和らぐ場合もあるようです。

また学校で落ち着く場所は保健室や図書室といった静かで、人が少ない場所所などが良いでしょう。
保健室は事前に発達障害があることを伝えておくことで利用しやすくなりますね。

周囲に視覚過敏があることを伝える

これは全ての障害に共通することだと思いますが、周囲に障害があることを伝えておくことはいざという時の助けになるでしょう。

事前に障害があるのを知っている場合と知らない場合とでは対処も違ってきます。
もし理解してもらうのが難しい場合はこのページや、障害について詳しく解説しているwebサイトを印刷して読んでもらうなどすれば、理解してもらいやすいでしょう。

発達障害をもつ人の見え方、捉え方が違うことへのサポート

サポートする周囲の方は、発達障害でコミュニケーションが苦手な人は「相手の感情がわかっていない」、「言葉で説明されないことは理解できていない」ことを認識しておきましょう。

当事者がトラブルになるような言動などをしてしまった場合は、それが障害によるものであることを相手に伝えてあげたり、当事者本人にはどうしてその言葉に問題があるのか教えてあげましょう。

サポートの例として、タレント栗原類さんの母、泉さんのお話がとても参考になるのではないかと思います。

栗原類さんは発達障害(ADD:注意欠陥障害)であることを公表しています。
類さんの母は、彼が幼少期に「何か違う」ことに気づきました。
泉さんは息子の将来を深く考え、子育てする環境が日本では合わないことを感じ、5歳の類さんと共に渡米したといいます。

アメリカは日本よりも発達障害の認知や研究が進んでおり、「人と違う」ことが受け入れられる社会であったことから、困難はありながらも、親子共にのびのびとした生活が送れたそうです。

そして、類さんも「相手の気持ちが理解しづらい」特徴を持っていて、よく「周りに迷惑をかけていた」と言いますが、そんな時に母は丁寧に説明してくれたと言います。

また、「今の自分には何が足りないか」「何を具体的にすればよいのか」も自分にはわからなかったため、泉さんが整理して分析してくれたそうです。

類さんは、こういった泉さんの工夫やサポートのおかげで随分と症状を改善できたし、いつも「自分は自分」「あなたは違っていい」と言ってもらえたから自己肯定感を失わずにに済んだと語っています。

以下は泉さんの著書「ブレない子育て 発達障害の子、栗原類を伸ばした母の手記」です。
実際に発達障害の子育てをした本人だからこそわかる内容も多いので興味があれば読んでみてはいかがでしょうか?

ブレない子育て 発達障害の子、「栗原類」を伸ばした母の手記 /KADOKAWA/栗原泉posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング

このエピソードからわかる、物事の見え方、捉え方でサポートできるのは以下の2点ではないでしょうか。

・サポートする親や周囲の人が当事者に相手の気持ちを説明してあげる
・わからないことを分析して具体的な行動を助けてあげる

どちらも発達障害をもつ人にとっては苦手な場合が多いので、以上のようなサポートがあれば改善する可能性も高まるのではないでしょうか。

ディスレクシアをもつ人へのサポート

最近では学校などでもタブレットやPCが使われるようになってきましたが、こういったデジタル機器やICT機器を用意すれば様々な場面でディスレクシアの困難さを解決してくれます。

ICT

「情報通信技術」のこと。
ITはコンピューター技術そのものを指し、ICTはコンピューター、情報処理に加えネットワーク通信を活用した産業やサービスの総称。

例えばPCやタブレットなら簡単に文字を拡大できますし、文字を音声に変えてくれるアプリも多数出ているので、アプリに読んでもらうこともできます。
以下にいくつか文字から音声に変えてくれるアプリをご紹介しますので活用してみてはいかがでしょうか。

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また、2008年に施行された「教科用特定図書普及促進法」と「著作権法第33条の2」の改正に伴い発達障害等の児童、生徒へのデジタル教科書が製作できるようになりました。
これにより現在、様々なICT機器が販売されています。

例えば以下のような機器は、文字を読むのが困難な子供向けにつくられているので活用すれば大きなサポートに繋がることでしょう。

■デイジー教科書

通常の教科書と同じテキストや画像を使って、テキストと音声をシンクロさせて読むことができ、音声を聞きながらハイライトしたテキストを読みつつ、同じ画面で絵を見ることもできます。

■音声付教科書

教科書の紙面に目では見えない2次元コードが重ねて印刷されていて、付属のペンで紙面をタッチすると、その部分の文章がペンから朗読再生されるもの。

文字を目で読む事が困難な子供向けに開発されており、視覚と聴覚で文字を読むサポートをしてくれます。

こういった、デジタル機器やICT機器を教育現場で活用する機会は今後増えていくことでしょう。

実際に文部科学省の行った調査では、ICTを導入した学校では児童の学習意欲や教育内容のわかりやすさなどにおいて、生徒たちから高い評価を受けていることがわかっています。

この調査は発達障害に関わらず、学校全体としてICTを導入し実証校とした事例ですが、この効果は発達障害の子供にとっても関連性は低くないと言えるでしょう。

ICT機器を使用するには

これらのICT機器は主に学校などの教育機関向けに無料でサンプルを貸し出しているので、気になる方は学校へ問い合わせると良いでしょう。

紹介した機器の利用には、読み書きに困難がある児童や子供に対してのみとなっているので、そのことを学校側へ伝える必要があります。

ただ実際の所、学校にICT機器を導入するにはまだまだハードルが高く導入に抵抗を示す場合もあるようです。
その主な理由は以下のようなもの。

・ICTを使う児童への特別扱いへの懸念
・導入する際のコスト
・教育現場のICT活用やノウハウ不足

現在のICTの普及は過渡期にあり、 どうしても導入が難しい場合は転校なども選択肢に入れることになるでしょう。

もちろん学校を変えることは大変大きな選択になりますし、金銭的な負担も大きいので必ずしもおすすめはできません。

もし学校を変わるのが難しい場合は、今の学校へできるだけ配慮してもらえるように伝えてみてはいかがでしょうか?

例えば、教材や掲示物は明確で大きくシンプルなフォントを使ってもらうことや、太字のペンや表示が大きいものさしなど視覚補助道具を使用できるよう働きかけるといったことです。

最新技術が発達障害の社会認知を拡げる可能性

前記したICTも含め、最新技術は発達障害の困難を軽減してくれることはもちろん、社会認知を加速させる可能性があるでしょう。

発達障害の人が見ている世界を体験できるVR

発達障害のある人の就労支援や学習支援をしているLITALICOという企業では「視覚過敏」で見える世界をVRで体験することができます。

VR

「仮想現実」とも呼ばれる。
ゴーグルなどを装着しそこへ映像を映し出すことで、限りなく現実に近い感覚を得られる。自身の行動や動きが映像内に反映される機器もありリアルな世界を体感できる。

この機器は東京大学、国立精神・神経医療研究センター、LITALICOが連携して研究をしているもので、自閉症スぺトラム(ASD)で視覚過敏をもつ人が見ている世界を見ることができます。

また、高齢者向け住宅の設計、施工をしている建設会社シルバーウッド株式会社でも発達障害の人が見る世界を体験できるVRが開発されていて、障害者雇用に関心のある人事担当者向けに、この機器を紹介するイベントが開かれているようです。

まとめ

発達障害による視覚過敏やディスレクシアといった障害は周囲へ理解してもらうのが難しい障害ではありますが、この記事でご紹介した改善方法やサポート方法など具体的に伝えることで、周囲の方の理解が深まるかもしれませんので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

また、ICTやVRといった最新の技術はまだまだ社会へ浸透するには時間が掛かるかもしれませんが、今後、発達障害の症状を改善したり、認知を拡げてくれる可能性は大いにあります。

当事者はもちろん、親や周囲の方は、普段からこういった情報を知っておくことで、対処方法や改善方法についての知識が広がるのではないでしょうか。