皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場所なることを願って投稿させて頂きます。
今日のトピックは「発達障害と体温調節」についてです。
みなさん、発達障害を持っている場合は体温調節が苦手かもしれない……ってご存知でしょうか?
実は、発達障害の影響で、体温調節が苦手である人は少なくありません。
自分で上手く調節ができないので、暑くてバテてしまったり、寒さから風邪をひいてしまうことも。
何かと野外活動の多い小学生・中学生のうちは、特に熱中症が心配ですよね。
どうして体温調節が上手くできないのか?
どうすれば熱中症を予防できるのか?
さっそく、原因と対策を調べてまとめてみました!
熱中症に備える為にも、また、冬には風邪のリスクを少しでも軽減する為にも、発達障害と体温調節について、この記事で一緒に勉強しましょう!
目次
発達障害と体温調節の関係
人は意識しなくても、自律神経の働きによって体温を36℃前後に維持することができる生き物です。これにより、いつでも”ほぼ常に同じ体温”を保っている事ができます。
ただ、発達障害を抱えた人は、体温を調節することが苦手という人は少なくありません。理由のひとつに、自律神経の働きが上手に行われないことが原因と考えられます。
つまり、汗をかくことが苦手なのです。
暑い時、身体は汗をかいて体温を調節しようとします。ところが、汗をかくことが苦手なので、効率良く体温調節することができません。
なので、身体に熱が籠ってしまうことで”熱中症”の危険性もあり得ます。
体温調節が苦手な人=発達障害を抱えているとは限りません。
また、発達障害の特徴に多い「強いこだわり」によって、服装選びが苦手という人も少なくありません。
必要以上に服を着込んだり、逆に薄手だったりと、環境や状況によって適した服を選ぶことができないのです。
なので、体調を崩しやすくなってしまいます。
自分で体温を管理することが苦手な人々
突然ですが、私の友人の話をしてみたいと思います。
友人の名前はトシノリ君(仮名)。
もう子供ではない年齢の彼ですが、いくつか変わったところがあります。
そのうちのひとつが、「季節への対応が下手」というものです。
たとえば、一緒に出掛けようとした時の事です。
待ち合わせにやって来たトシノリ君は、真夏向けの半ズボンをはいていました。
その日は、そろそろ秋風が吹き始めた夏の終わり頃。
「ちょっと寒いんじゃない?」と言った私の言葉に、素直に家へと引き返したトシノリ君。
しばらくして出てきた彼は、今度は真冬向けの厚手のズボンをはいていました。
裏にたっぷりと毛のついた、もこもことした生地のズボンです(秋に着るには暑いです)。
真夏向けから真冬向けへ、極端な衣服の選択です。
――そう。彼は、「気候に応じた服装選びがとても苦手」だったのです。
トシノリ君が発達障害の傾向が強い人だと判明したのは、ずいぶん後になってからでした。
…いかがでしょうか?
このエピソードは、「体温調整が苦手」な事例のほんの一例です。
発達障害がある場合、複数の要因から体温調節が難しくなっていることがあります。どの要因が当てはまるかは、生まれつきの体質や持っている特性によって異なります。
お話させて頂いた友人トシノリ君の場合は、気候の変化を肌で感じるのが苦手なタイプです。
「この服を着ると暑い/寒い」という判断があまり上手くできないのです。
その為、暑くなっても上着を脱がなかったり、反対に寒い日にジャケットを脱いだら下に着ていたのが薄いTシャツ1枚だった……という事がよくあります。
体温調整が上手くできないので、彼はことのほか熱中症を恐れていて夏が嫌いです。
そして、冬になると決まって風邪を引いてしまうのも彼の特徴です。
その他の要因
他、集中しすぎて水分補給を忘れてしまったり、エアコンの冷暖房が苦手で室内の温度をうまく調節できず、体温調節に影響が出てしまう……などのケースもあります。
どれが自分やお子さんに当てはまるのか、しっかりと把握しておきたいですね!
うっかりすると命の危機にも!? 熱中症を予防しよう!
発汗がうまくできずに体内に熱を溜め込んでしまう上、暑くなっても気付かずに外に居続けたり、衣服による体温調節ができなかったりした場合、どうなるでしょうか?
体温の上昇がひどい場合は、「熱中症」になってしまいます。
時には命の危険にもなり得る病気です。
体温調節が苦手なお子さんの場合、どんな事に気をつけると良いのでしょうか。
発達障害と熱中症の危険についても調べてみました。
発達障害と熱中症の危険
熱を溜め込みやすい体質であれば、他の人よりも早く熱中症の症状が出やすいおそれがあります。同じ環境下にいても、先に倒れてしまう可能性があるのです。
発達障害の特性で客観的に自分を見る事が苦手なお子さんであれば、自分の様子に気付かず、周囲の子の様子を見て状況を判断してしまうこともあります。
たとえ自分が休憩が必要な状態にあっても、他の子が元気に遊んでいれば「自分も大丈夫だ」と思ってしまうかも知れません。
体温に対する本人の自覚が薄ければ、服を脱いだり休憩に向かうといった行動を自分からしないでしょう。
「暑くない?」と聞いても「大丈夫」と答えてしまう場合もあります。
周囲が答えを真に受けてしまうと、体調が悪化するまで誰も気付けなくなってしまうかも知れません。
本人が大丈夫と言っていても、ボーッとしている・顔が赤くなるなどの熱中症の初期症状があれば休ませることが必要です。
このようにお子さんが体温調節が苦手なタイプであれば、学校の先生や友達など、一緒に行動することが多い周囲の人達に、あらかじめ「体温調節が苦手」である事を知らせておくことも必要であるといえます。
夏場の危険といえば、プールでの熱中症の事故も多いようです。
プールは水に入るので体温が下がるだろうと思われがちですが、プールサイドは高温多湿の環境となりやすい場所です。
熱中症になってしまったら?
万一、実際に熱中症になってしまったら、早い段階での対応が必要です。
ここは発達障害があってもなくても同じです。
素早い対応ができるように、日頃から症状の見つけ方や応急処置の方法などをチェックしておきたいですね!
【熱中症の主な対処方法の例】
- 水を飲ませる
- 日陰に連れて行く
- 体を冷やす など
※ご注意※
熱中症は臨機応変な対応が求められます!
より詳細に情報を得られる場所で正しい応急処置の方法を身に着け、状況に応じた対処を行って下さい。 場合によっては救急車の要請が必要となる事もあります。
下記に、スポーツ庁(文部科学省)・環境省が提供している熱中症についての情報リンクを貼らせて頂きます。正しい知識で熱中症に対処しましょう!
↓スポーツ庁が公開している熱中症予防の動画です。
↓こちらの外部リンクからも、熱中症についての情報を調べることができます。
【外部リンク】環境省 環境省熱中症予防情報サイト (TOPページ)
環境省 熱中症の基礎知識のページ
熱中症の基礎知識を学ぶことができます。
環境省 熱中症の対処方法(応急処置)のページ
熱中症にかかった場合の応急処置を学ぶことができます。
環境省 熱中症について学べる動画のページ
熱中症についての知識を学ぶYoutube動画番組の一覧を見ることができます。
工夫して上手に四季を乗り切ろう!
平熱を把握しておこう
発達障害から体感温度を感じにくい場合は、日頃から平熱を把握しておきましょう。
平熱は個人により差があります。例えば、平熱が36℃の人が38℃の熱を出すのと、平熱が35.5℃の人が37.5℃の熱を出すのは同じ「+2℃の発熱」です。
普段の平温を把握しておく事で、「体温が高すぎるかも……」と心配になった時に、どのくらいの体温上昇が起こっているのか正確にわかるようになります。
体感温度は本人の申告ですので、気づかないうちに発熱・低体温に近づいているかも知れません。
数値として目に見えると判断がしやすくなります。体温計を上手に活用して、いち早く異常を察知しましょう!
体調が安定している日を選んで、「朝」「昼」「夕方」「就寝前」にそれぞれ体温を測ります。食事をすると体温が上がるため、計測は食事の前が良いようです。
体温は1日のサイクルの中で自然に変わり、朝低く、夕方高くなります。どの時間帯の体温がどれくらいか、それぞれ知っておきましょう!
気温への対策を特性に合わせてマニュアルに
発達障害の特性によっては、理解の仕方や覚え方に得手不得手があります。
口頭での説明が理解しにくい特性を持っている場合は口で教えてもなかなか覚えにくいでしょうし、応用が苦手な特性を持っている場合は基本だけを教えても実際の行動に合わせにくかったりするでしょう。
特に経験の少ない子供のうちは、自分で状況を判断することが難しいものです。
「この気温では、どう行動に注意すると良い」
「この環境では、どの程度の間隔で、どこで休憩をとると良い」など、
お子さんの活動範囲に応じたマニュアルを、特性に合わせて作ってみるのも良いかも知れません。
その子に合ったマニュアルを作りたいですね!
ちなみに、冒頭でお話した友人のトシノリ君の場合ですが……。
彼は「熱中症対策に水分補給が良い」と聞いたら、ひたすら忠実に水をがぶ飲みし続ける人です。それこそ、屋内であろうとおかまいなしに、です。
その結果、滅多に外を出歩かない・汗をあまりかかない彼は、冷房の効いた室内で「水中毒」になりかけました。
自己管理できるように対策を教えるのは大切ですが、教え方にも特性への理解が必要となりそうです。
水分を取り過ぎることによって、中毒症状を起こすことです。
血液中のナトリウム(塩分)の低下、痙攣(けいれん)などの症状があります。重症であれば命にかかわる事もあります。
暑さ寒さに合った衣服選び
自分で気候に応じた服装を選ぶのが苦手な様子であれば、大人が衣服選びを手伝ってあげることも重要な体温調整のサポートとなります。
また、感覚過敏などで特定の生地が苦手な場合や、特定のデザインの服が苦手などの場合は、お子さんの感覚に合った生地やデザインの中から服を探してあげましょう。
その日の天気の変動や、どこへ出かけるかなども予想して選ぶと良いかも知れません。
季節の変わり目などで朝晩と日中の気温が大きく異なるようであれば、「この時間になったら1枚脱ぐ/着る」というように具体的に教えておくと調節しやすくなるでしょう。
一緒に選ぶことでお子さん自身もストレス無く、気候に応じた服選びが楽しくできるようになると良いですね。
冷却グッズ・保温グッズの活用も
衣服での体温調節が難しい場合でも、便利な冷却グッズ・保温グッズを使って体温を守る方法もあります。
いくつか紹介してみましょう。
冷却グッズ:ネッククーラー
首の血管を冷やすことで、効率よく体温の上昇を抑えることができるグッズです。コンパクトなので邪魔にならず、不要になればカバンなどにさっとしまえるのも魅力のひとつです。
【商品例】
しろくまのきもち ひんやりサマースカーフ
しろくまのきもち ひんやりサマースカーフ モカベージュドット(1コ入)posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング
冷却グッズ:保冷剤・熱さまシートなど
部分的に冷やすことのできる保冷剤や、熱さまシートの利用はいかがでしょうか。
保冷剤は冷凍庫で冷やして繰り返し利用できるので経済的に使えます。
熱さまシートは、パッケージのまま持ち歩くことができるので、気になった時にすぐに取り出して使えるのが魅力ですね。
【商品例】
熱さまシート こども用
熱さまシート こども用(16枚(2枚*8包入))posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング
保温グッズ:ネックウォーマー
首元を保温するだけでも、体温維持に効果があるでしょう。様々なデザインや素材のものが売られています。
ゆったりとしたデザインの物もありますので、のどへの締め付けが苦手なタイプのお子さんでも比較的使いやすいのではないでしょうか。
運動しやすいシンプルなものも販売されています。
【商品例】
ミズノ ジュニアネックウォーマー
ミズノ MIZUNO ジュニアネックウォーマー 12JY5B0209posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング
保温グッズ:使い捨てカイロ
使い捨てタイプのカイロは、お手軽な保温グッズです。 パッケージのまま持ち歩いて必要な時に取り出してすぐに使う事ができるので、気候を読むのが難しい時にひとつカバンに入れておくと安心です。
ご使用の際は、低温火傷に注意して下さいね!
【商品例】
桐灰 カイロ はるタイプ
カイロ/桐灰 はるタイプ 箱入り(30コ入)posted with カエレバ楽天市場AmazonYahooショッピング
まとめ
それでは、これまでの情報をまとめてみましょう。
- 発達障害には、体温調整が苦手な場合がある!
- 体温をためこみやすい場合、周囲よりも早く熱中症にかかる事がある!
- 平熱を把握したり、マニュアルを作ったりして工夫しよう!
- 季節に応じた衣服選びをサポートしよう!
- 体温調節に保冷・保温グッズを使う方法もある!
暑さや寒さが厳しい時には、ただでさえ体調が危うくなるものです。
お子さんが上手に体温調節できるように、気をつけてサポートしていきたいものですね。
四季の豊かな日本、お子さんが野外活動を思う存分楽しめるように、工夫して暑さ寒さを乗り切っていきましょう!
もっと詳しく・他の情報も知りたい方は、
こちらのサイトも参考にしてみて下さい!
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