皆さんこんにちは!本日も発達障害等に関する学びや情報交換の場になることを願って投稿させて頂きます。

今日のトピックは「発達障害の二次障害といえる素行障害」についてです。

みなさんは素行障害という単語を聞いたことはありますか?

単語だけでも意味が連想できるかもしれませんが、素行障害は放置すると影響範囲が大きい障害です。

そこで今回は、素行障害の特徴や症状について解説します。

青木

知識として身に付けていただければ幸いです。

素行障害とは

素行症および素行障害・行為障害(Conduct Disorder)は反抗的で、社会のルールを守れないといった特徴をもつ精神疾患です。

具体例として他者や動物に対する暴力行為、盗み、長期間かつ複数回の家出などがあります。

なお素行症/素行障害はアメリカ精神医学会のマニュアル「DSM-5」において用いられる診断名で、行為障害は世界保健機関(WHO)の「ICD-10」で用いられている名称です。

素行障害の年代別の特徴

アメリカの精神医学会のマニュアル「DSM-5」では、素行障害を3種類に分けています。
これは発症した年齢によって分類するものです。

小児期発症型

小児期発症型の場合、10歳までに素行障害の症状が発症するといわれています。

小児期発症型の発病は、女子より男子に多いです。

素行障害が発症すると暴力的になり、同世代での対人関係でトラブルを頻発させることがあります。

また、小児期発症型の素行障害と診断される人は、小児期早期に反抗挑戦性障害(ODD)と診断されている場合が多いのも特徴です。

小児期発症型の素行障害をもつ場合、ADHD(注意欠如・多動症)や他の神経発達上の困難も同時に抱えている傾向にあります。

小児気発症型の素行障害は、青年期に発症したものと比べ、長引くとされています。

青年期発症型

青年期発症型の素行障害は、10歳以前に素行障害の症状が発病していないことを診断条件とします。

小児気発症型の素行障害に比べると症状は軽いのが特徴で、成人になる以前に症状が治りやすいでしょう。

青年期発症型の素行障害を抱える人は、周囲に対して攻撃的な行動を示すことは多くありません。

同世代の集団の中で大きなトラブルを引き起こすこともない傾向にあります。

特定不能の発症年齢

素行障害の基準は満たしているものの、発病年齢が10歳前後かどうか不明な場合、特定不能の発症年齢と診断が下されます。

素行障害の症状

素行障害の主な症状は年齢相応の社会ルールを守ることができない、もしくは他人の人権を侵害する行為を繰り返し持続的に行うことです。

これらの症状は4つの種類に分類できます。

  • 人や動物に対して暴力的
  • 所有物破壊
  • 他者にうそをつく・盗みの行為をする
  • 制定されたルールへの違反

素行障害の診断が下されるには、以上の症状が見られるのに加えて12カ月の間に複数の症状が継続していることや、半年の間に少なくとも1つの症状が見られることなどの条件があります。

人や動物に対して暴力的

いじめ、暴力、凶器を振り回す、強盗、虐待、性行為を強要するなど人や動物に対する残虐行為

所有物破壊

他人の所有物を破壊、放火などを行い相手に損害を与える

他者にうそをつく・盗みの行為をする

自分の利益を得るためにうそをつく、物を盗む、無断立ち入りをする

制定されたルールへの違反

学校をさぼる、家出をする、門限を守らない、夜遊びに夢中になる

大竹

素行障害を放置してしまうと本人だけではなく周囲にも影響が出てしまいます。

診断結果が下るのに何点か期限付きの条件が問われるんですね。
保護者としては早期解決したいところです……

素行障害と発達障害の関係性

小児期発症型の項目でも触れましたが、素行障害と発達障害には関連があるのでご紹介します。

参考元にある、厚生労働省ホームページで公開中の「発達障害児に併存する反抗挑発症、および素行症の実態に関する研究」報告書を確認してください。

対象を小学5年生とした場合、素行不良でかつ発達障害の症状を持つ確率はADHDで2.5%、PDDで5.4%という結果が出ました。

素行障害の解釈の一つに、素行障害は発達障害における二次障害ともいわれています。

素行障害に限らず発達障害も、早期発見、早期療育が望ましいでしょう。

参考元:厚生労働科学研究成果データーベース

ADHD

ADHDとはAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略語で、日本語訳は注意欠如・多動性障害です。

症状としては注意力が続かない、順序立てた行動が苦手、落ち着きがない、順番を守れないなどで、行動の抑制が困難であり継続的に起こります。

ADHDに関する記事がありますので、よろしければご覧ください。

PDD

PDDとはPervasive Developmental Disordersの略称で、日本語訳は広汎性発達障害です。

現在は自閉症スペクトラム障害または自閉スペクトラム症という名称で呼ばれています。

主な症状として、コミュニケーションがうまく取れない、こだわりや関心が偏る、対人関係を築きにくいなどが挙げられます。

PDDについては別途記事がありますので、よろしければご覧ください。

まとめ

今回は素行障害について解説しました。

発達障害の症状が分かっているのにも関わらず放置すると、二次障害といわれる素行障害を患う可能性が出るかもしれません。

お子さんの様子を注意深く観察し、早目の対応を心がけましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。